
今日は、オリエンテーションの日。遅刻すると恥ずかしいから早く講義室に行ってみたけど、全然人がいなくて一度退散。時間ちょうどに行ってみると、今度は長い行列が出来ていた。
雫「うわぁ…男の子ばっかり…」
講義室に入り、後ろから席を探してみる。
どこを見ても男子ばかりで座る場所も見つけられない。
???「ねぇ」
雫「は、はい」
女の子「あなたも政治経済学部?」
雫「う…うん、あなたも?」
美玖「私は美玖(みく)。よろしくね」
雫「私は雫。よろしく」
美玖「あっちに席が空いてるから行こうよ」
雫「うん」
ポニーテールの似合う活発そうな女の子は、長谷川美玖ちゃん。
美玖ちゃんは、運動神経抜群で、テニスで県大会に行ったこともあるらしい。最初の印象は、明るくて元気な子。背も高くて、スラッとしている。私は、同じ学部で初めて会った女子に、とても安心した。
美玖「でも、男子ばっかりだよねぇ」
美玖ちゃんが、講義室を見渡す。
数少ない女子が珍しいようで、見つめていた何人かの男子が視線を逸らす。
雫「うん。でも、女子がいて良かったぁ」
美玖「なんか男子200人に対して女子は10人くらいしかいないらしいよ」
雫「少ないんだね…」
美玖「それにしても、ずいぶん見られてるねぇ、雫」
雫「見られてるって?」
美玖「男子の視線」
雫「ええ?私?」
美玖「すれ違う男子が、みーんなこれ見てたよ」
雫「きゃあ!!」
美玖ちゃんが、胸を突っついてくる。思わず胸を押さえる。
雫「な、なにするのぉ」
美玖「ふふ…男子をメロメロにする物体を確認したの」
雫「んー、でも確かに言われてみればジロジロ見られていたような気も…」
美玖「こりゃあ、ライバル出現だなぁ」
雫「ライバル?」
美玖「雫って彼氏いる?」
雫「いないよ」
美玖「処女?」
雫「しょ!!!」
美玖「あー、もういいや。わかった」
雫「はぁ」
美玖「私も全く同じ。女子高だったからさ男子との接点なかったんだよね」
雫「美玖ちゃんって女の子からモテそうだよね」
美玖「その通り。後輩の女子からモテモテだったよ」
雫「なんかわかる気するー」
美玖「私は、決めてるの。大学生になったらカッコいい彼氏を作ってやるって」
雫「美玖ちゃん、立ち上がらない方がいいよ。みんな見てる…」
美玖ちゃんが、視線を感じ、顔を赤らめながら静かに着席する。
美玖「と、とにかく、私は肉食系女子大生として積極的に男子との交流をはかろうと思っているの」
雫「カッコいい人いるかなぁ?」
ほとんど満席になった講義室を見渡してみる。
どことなくオタクっぽいような男子しか目につかない。教授みたいなおじさんっぽい男子にガリガリの色白中学生みたいな男子まで…。あまりカッコいい男子はいそうにない。
雫「なんだか…いないような」
美玖「下調べは万全。この学部には、イケメンが1人いるの」
【続】