後悔する新人 #4

雫「その人って今いる?」

美玖ちゃんが、講義室をぐるりと見渡す。

美玖「んー、まだ来てないみたい」

雫「もう、席なさそうだけど…」

美玖「あ!!いたいた!!あれあれ」

美玖ちゃんが、そっと指をさす。髪を肩まで伸ばした男子が、ニコニコと笑いながら講義室へ入って来る。背も高く、顔も整っている。確かに他の男子とは雰囲気が違う。

雫「確かにカッコいい系だね」

美玖「こっち空いてるよーー」

美玖ちゃんが、手を振って声をかける。隣りの席を2つ空けていたのはそういう理由らしい。カッコいい男子は、もう一人の男子を連れて美玖ちゃんの隣りの席に座った。

イケメン「ありがとう。いやー、ギリギリだと席がなくて困っちゃうね。助かったよ」

美玖「いいのいいの。たまたま空いてたから」

村上「俺は、村上。こっちは秋野」

秋野「よろしく」

美玖「私は、長谷川美玖」

雫「…ま、真中雫です…」

村上「へー、美玖ちゃんと雫ちゃんか。よろしくね」

秋野「お前、いきなり名前呼び捨てとか失礼だろ」

村上「細かいなぁ。これから仲良くなるんだからいいじゃん」

秋野「しょうがない奴…」

村上「あ、あれ義也じゃない?」

秋野「誰だっけ?」

村上「野球部の」

秋野「あー」

村上「ちょっと声かけてこようぜ。おーい義也」

秋野「せっかく席取ってくれたのにごめんね。じゃまた」

嵐のようにやってきた2人の男子はあっという間にやって来て、
あっという間に去って行った。

それは、本当に一瞬の出来事だった。

美玖「はぁー超カッコいい、村上君。全然喋れなかったけど…」

雫「確かにカッコいいね…」

美玖「言っとくけど村上君は私が狙ってるんだからね」

雫「わ、わかってるよぉ」

美玖「まぁ、雫はどっちかって言えば秋野君派みたいだし」

雫「う…」

美玖「拒否反応しなきゃ肯定することになっちゃうんだけど?」

雫「えへへ」

美玖「その苦笑いは…決まりだね。でも、秋野君もなかなかカッコいいよね。あの2人仲良いみたいで、いっつも一緒にいるの。イケメンが並んでるのって目の保養になるよねぇ」

美玖ちゃんが、遠い目をしながらニヤニヤと笑みを浮かべる。視線を前に向けると、村上君と楽し気にしゃべる秋野君が映る。自分が、あの隣りに座れたら…そんな期待も自信もない少しの希望を持ちながら、私は転部の考えをやめた。

【続】

「後悔する新人」
「調教する隣人」の真中雫が主人公のサブストーリーです。
秋野に出会う前から大学生活を送る間の物語を描いています。

小説「調教する隣人」(1)
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★小説版のみの雫ED「調教する隣人」(5)
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ゲーム「調教する隣人」
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★「後悔する新人」まとめ版★
※内容は同じです※
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