後悔する新人 #9

秋野君と入れ違いで美玖ちゃんが出ていく。

秋野君は、少し疲れたような顔をしている。

村上「面談どうだった?」

秋野「なんか色々聞かれた」

村上「面談なんだから当たり前だろ。どんなこと聞かれたとかさ」

秋野「知らね」

村上「秋野はタメにならないねぇ」

村上君が、やれやれといったジェスチャーをし、わざとらしく溜息をついた。

秋野君は、特に面談の話はせず何かを考えているようだった。

他の人には聞かれたくない事でも聞かれるのかな?

村上「あー退屈だなぁ、帰ろーかな」

座っているのに飽きてしまった村上君が、立ち上がってウロウロする。

秋野「まだ面談やってねーだろ」

村上「今日じゃなくてもいいじゃんか」

秋野「ごめんね。コイツうるさいでしょ?」

雫「全然そんなことないよ、楽しいし」

それは、本心だった。

このメンバーだったらきっと大学生活も楽しくなるって思えた。秋野君も申し訳そうな顔をしていたけど、内心はきっと楽しいんだと思う。

美玖「ただいまぁ~」

雫「お帰り美玖ちゃん。どうだった?」

美玖「んー?セクハラはなかったから大丈夫」

雫「そりゃそうでしょ」

美玖「なんだかお医者さんの問診みたい」

雫「ふーん」

美玖「次は雫だよ」

雫「うん」

賑やかなゼミ室を出て、五十嵐教授の研究室へ向かう。

研究室の扉が少し開いている。
隙間からタバコとアルコールの香りが漏れている。

ノックしようと思ったが、そのまま声をかけてみる事にした。

雫「真中です」

五十嵐「入っていいぞ」

雫「失礼しまーす」

静かに扉を開ける。

研究室の惨状は変わらず、タバコの煙が天井いっぱいに広がっている。

五十嵐教授は、丸椅子をギシギシときしませながらノートに何かを書いていた。

雫「あの…」

五十嵐「座って」

雫「はい…」

私が、目の前に座ると五十嵐教授は、私の顔をじっと見つめる。

正確には瞬きをせず瞳を見つめていた。

雫「……」

五十嵐「……」

その瞳を見ていると、なんだか落ち着く。

周りの雑音が消えていくような…。

少し眠い感じがした時、五十嵐教授が声をかけてくる。

五十嵐「名前は?」

雫「ま、真中雫です」

五十嵐「誕生日」

雫「4月29日です」

五十嵐「家族構成は?」

雫「父、母、妹の4人です」

五十嵐「両手出して」

私が両手を出すと五十嵐教授は、真剣なまなざしで両手を見つめた。

右と左を交互に見比べながら、その後も質問を続けた。

たまに同じ質問を交えつつ、聞きだした回答をノートに書きこんでいく。

【続】

「後悔する新人」
「調教する隣人」の真中雫が主人公のサブストーリーです。
秋野に出会う前から大学生活を送る間の物語を描いています。

小説「調教する隣人」(1)
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★小説版のみの雫ED「調教する隣人」(5)
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ゲーム「調教する隣人」
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★「後悔する新人」まとめ版★
※内容は同じです※
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