
五十嵐「毎週ゼミをやる5分前に開けてくれ」
雫「わかりました」
五十嵐「それじゃあ、今日はここまで」
秋野「もう終わりかよ」
五十嵐「明日学会で論文発表しなきゃならないんだよ。今からタクシー飛ばして飛行機乗ってな」
村上「女と旅行じゃないの?」
五十嵐「村上、お前来週から来なくていいぞ。単位やらないから」
村上「あー嘘です嘘です」
村上君が、立ち上がって身振り手振りで慌てる。
その姿が面白くって、みんなで笑った。
五十嵐教授も笑っていたが、私はさっきの冷たい目をした表情を思い出した。
五十嵐「時間がないからそろそろ行くわ。いつまでいてもいいけど、帰る時はちゃんと閉めること。真中、鍵は持って帰ってもいいけど無くすなよ」
美玖「雫ぅ~大丈夫?」
五十嵐「それから長谷川と村上には絶対渡すな」
美玖「えー?村上君はともかく、何で私まで!!」
村上「……美玖ちゃん、それはあんまりだよ…」
五十嵐教授が、笑いながら出ていく。
私たちは、ゼミ室で少しお喋りをして帰ることにした。
村上「へー、美玖ちゃんは今日アルバイトの面接なんだ」
美玖「うん、高校の時は飲食店でバイトしていたから今度はコンビニにしようかなーって」
村上「じゃあさ、美玖ちゃんが受かったらみんなで遊びに行こうぜ」
秋野「コンビニじゃ邪魔になるだろ?」
村上「邪魔にならないようにすんだよ。外から監視するだけ」
秋野「いや、メチャクチャ邪魔じゃねーか」
美玖「あー緊張してきたぁ」
雫「美玖ちゃんなら大丈夫だよ~」
美玖「ありがとう雫~」
村上「俺もはぐするぅ~」
秋野「調子乗んな」
村上「いてー」
秋野君と村上君の漫才のようなやり取りに私と美玖ちゃんはお腹が痛くなるほど笑った。
美玖ちゃんの面接の時間が近づいてきたので私たちは帰ることにした。
【続】