
ゴスロリ「………」
雫「………」
ゴスロリ「私ってそんなに変な顔してるかしら?」
美少女は、目をつぶり、ティーカップに口をつける。
雫「い、いえ…ごめんなさい…」
興味があちこちに沸いてしまい全身をジロジロと見つめてしまった。
ゴスロリ「貴女、五十嵐ゼミに入る新入生?」
雫「はい、真中雫って言います」
ゴスロリ「影山夢莉よ。五十嵐ゼミの2年生」
雫「よ、よろしくお願いします」
夢莉「真中さんも何か飲む?」
雫「ありがとうございます」
夢莉先輩が、サッと席を立つ。
小柄な印象だったが、立ち上がると本当に小さい。
気にしているかもしれないので本人には伝えないけど、子供みたいで凄く可愛い。
ゴスロリの衣装もとても似合っていて外国のお人形のようだ。
黒と白の縞々のソックスに、ピカピカに光る黒のショートブーツ。
かなりこだわりが強いように見える。
おっと、あんまりジロジロ見ないようにしなきゃ…。
夢莉「ローズヒップティーでいいかしら?」
雫「はい、ありがとうございます」
夢莉先輩は、研究所に備え付けてある小さなキッチンに立ち、お湯を沸かす。
さっきはゴミで溢れかえって気が付かなかったけど、
キッチンが隠れているとは思わなかった。
夢莉「荷物置いたら?」
雫「あ」
五十嵐教授に頼まれた本を両手に持っていたことをすっかり忘れていた。
私は、テーブルに本を置き、夢莉先輩の座っている正面の椅子に座った。
カップにお湯が注がれる音が聞こえ、甘酸っぱい香りが研究室に広がる。
さっきまで面談をやっていた汚れたイメージが払拭され、
お洒落なカフェのような雰囲気になっている。
テーブルの中央には、夢莉先輩が持ってきたと思われる花が花瓶に挿してある。
夢莉「はい、どうぞ」
雫「ありがとうございます」
夢莉「お菓子もどうぞ」
可愛いウサギのお皿にクッキーが綺麗に並べてある。
夢莉先輩は、自分の席に座り、ティーカップに口をつける。
私もティーカップに口をつけ、クッキーにかじりつく。
雫「とても美味しいです」
夢莉「ふふ、よかった」
夢莉先輩が、にっこりと微笑する。
その可愛らしさに同姓の私もドキドキしてしまう。
夢莉「今年の1年生は貴女だけ?」
雫「いえ、私を入れて4人です」
夢莉「あら、多いわね」
夢莉先輩は、驚いた表情を浮かべる。
大きな目がより一層大きく見開かれた。
夢莉「貴女が、ゼミ長?」
雫「いえ、私は書記で…」
夢莉「ふーん、真中さんが2位なのね」
雫「2位?」
夢莉「五十嵐教授は、その年に入った新入生の中で一番問題がある子をゼミ長にして、2番目に問題がある子を書記にするのよ。人にランクをつけるなんて失礼よねぇ」
雫「わ、私って問題ある子2位なんだ…」
夢莉「落ち込まないで!!私なら絶対1位にするわ!!」
雫「嬉しくないです…」
夢莉先輩が、フォローのつもりで口にした言葉が私をより傷つける。
ん?
ってことはゼミの中では秋野君が一番問題児????
【続】