
雫「これと…これと…これは……」
美玖「……」
雫「これは何だろ……んー、いいや」
美玖「……」
雫「えーっと…これなんだろ?」
美玖「もしもし雫さん?」
雫「ん?どうかした?」
美玖「なんで部品捨ててるの?」
雫「へ?これって使うの?」
美玖「これも、これも全部使うから」
私が、ごみ袋に捨てた物を美玖ちゃんが一つ一つ拾い上げていく。
雫「じゃあ、これも?」
美玖「発泡スチロールは使わない…」
雫「うーん」
美玖「……ふざけてる?」
雫「ふざけてないよぉ~」
美玖ちゃんが、私に疑いの眼差しを向ける。
何が必要で何が不要なのかよくわからない。
家に届いたものは全部パパかママが作るから、私は完成したものしか見たことがない。
この事を話したらまた美玖ちゃんに馬鹿にされそうだから黙っておこう。
美玖「雫、もしかして図工とか工作とか苦手だった?」
雫「うん、全然ダメ…」
美玖「やっぱり…説明書に書いてあるでしょ?」
雫「見なくてもできるかなぁ~…なんて」
美玖「読むのがめんどくさいだけでしょう?」
雫「……えへへ」
美玖ちゃんは、呆れたといった表情で再び溜息をつく。
美玖「じゃあ組み立てるのは私がやるから雫はぬいぐるみを箱から出して」
雫「はーい」
なんだかママに言われてるみたい。
私は、段ボールから物を取り出す係りに任命される。
美玖ちゃんは、説明書を読みながら手際よく食器棚や本棚を組み立てていく。
私が、全ての段ボールを開封するのと同時に美玖ちゃんが組み立て終わる。
雫「美玖ちゃん~ありがとう~」
美玖「大丈夫大丈夫。こういう無心でやる作業って結構好きなんだぁ」
雫「美玖ちゃんがいなかったら何日かかるかわからないよ」
美玖「また、何かあったら言って」
雫「うん!!今、コーヒー淹れるね。紅茶がいい?」
【続】