
美玖ちゃんが、手際よくぬいぐるみの足を縫い付けていく。
雫「でも、手作りでマフラーとかプレゼントされたら絶対嬉しいよ」
美玖「そうかなぁ」
雫「うん!!私も美玖ちゃんから貰ったら一生大切にするもん」
美玖「あ…」
美玖ちゃんが、ぬいぐるみを一度置く。
雫「どうしたの?」
美玖ちゃんの人差し指に丸い血の塊が小さく滲む。
美玖「………」
美玖ちゃんは、何も言わず、大きくなる赤い塊を無言で眺める。
雫「ちょっと待ってて!!」
私は、慌てて自分のカバンからばんそうこうを取り出す。
美玖「ありがとう、雫」
雫「私もドジだからよくやっちゃうんだぁ。転んだりぶつけたり。
ママにも『雫は雑なんだから!!』なんて言われちゃうの。
だから、いつケガしてもいいようにカバンに入れてるんだぁ」
美玖「そうなんだ」
雫「うん、それより大丈夫?」
ばんそうこうの上から血が黒く滲んでいる。
美玖「大丈夫大丈夫。ちょっとチクってしただけだし」
雫「急にお願いしちゃった私が悪いんだよ。ごめんね」
美玖「雫、さっきから謝ってばっかり。気にしなくていいよ。
私が、ボーっとしてるのが悪かったの」
美玖ちゃんが、優しく笑いかける。
美玖「それよりオヤツタイムにしよーよ。疲れちゃった」
美玖ちゃんの言葉に反応するかのように、ケトルが大きな音を立てる。
雫「あー忘れてたぁ」
私は、立ち上がって台所へ駆け寄る。
私も美玖ちゃんもドタバタして落ち着かない。
【続】