後悔する新人 #42

最初はタクシーで向かおうかと思ったけど、秋野君と村上君が「お店の人に見られた時に印象が悪い」と言うので歩いていくことにした。私が住んでいる地区の整備された歩道とは違って、コンクリートの縁石から雑草が生えていて、歩道もひび割れていた。アパートや古いお店が狭い距離でぎゅうぎゅうに並んでおり、少し歩いただけでこんなに違うのかと驚いた。

大学から徒歩で行ける距離にスナックNANAはあった。隣はコインランドリーで、古びたアパートはなかなか階数があり、一番上に住んでいる人はエレベーターがなくて登るのが大変だろうな、という感想を思った。スナックの扉は、アパートの雰囲気に似つかわしくない洋風のドアで、非常に入りにくい。私は意を決して扉を軽くノックする。

扉が見た目通りの鈍い音で開き、中からバッチリと化粧をした翠さんが顔をのぞかせた。

黒い袖ありのドレスは見たところ普通のワンピースのようだけど、下はテカテカに光っているミニスカートで、明らかに夜のお店のファッションだった。胸元がザックリ開いていて、自分も同じような格好をすると思うと緊張してくる。

翠さん「来てくれたんだ!待ってたよ!!」

雫「この間はありがとうございました」

翠さん「お礼を言うのはこっちの方だよ。助けてくれてありがとね」

翠さん「ママー。面接の子来たよー」

翠さんが振り返って、大きな声を上げる。後ろが大きく逆三角形に開いていて、真っ白な背中が丸見えになっている。自分にも着れるだろうか……段々と不安になってくる。

翠さん「あ、入って入って」

雫「失礼します……」

ネットで調べたスナックの雰囲気とは違って、どことなくバーや喫茶店のような店内だった。もっと煌びやかで、妖しいライトがピカピカしているのかと思っていたので、体の緊張が若干和らいだ。

翠さんに勧められた大きいサイコロのようなイスに座り、
ママと呼ばれた女性が来るのを待った。

翠さん「雫ちゃん。そんなに緊張しなくてもいいよ」

雫「そう言われても…」

翠さんが、私の両肩に手を置いて揉み解してくる。

触られて気が付いたけど、本当に緊張していたみたい。

凄く張っているのが翠さんの指越しに分かる。

ママ「お待たせしました。菫(すみれ)です」

【続】

「後悔する新人」
「調教する隣人」の真中雫が主人公のサブストーリーです。
秋野に出会う前から大学生活を送る間の物語を描いています。

小説「調教する隣人」(1)
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★小説版のみの雫ED「調教する隣人」(5)
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ゲーム「調教する隣人」
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★「後悔する新人」まとめ版★
※内容は同じです※
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