後悔する新人 #44

30㎝ほどの段差の上に4畳ほどの畳があり、奥に着物やドレスがかかっている。翠さんは、ヒールを脱いで畳に上がるとかかっているドレスを1着1着見ていく。私も靴を脱いで畳に上がった。

翠さん「う~ん、赤や青って感じじゃないよねぇ。やっぱり明るい色がいいかな」

雫「あ、意外と普通のワンピースみたい」

翠さん「そうそう。スナックはキャバクラみたいにドレスじゃないから、割と普通の服っぽいでしょ?実際、私も私服で働いてることの方が多いし」

雫「でも、翠さんのドレス。かなりセクシーな感じが……」

翠さん「ああ、コレね。これはかなり古いドレス。ちょっと着るのがなくって、ママに借りてるんだ」

雫「そうなんですね」

翠さん「これしちゃって」

翠さんが、苦い顔をして何かを吐き出すようなジェスチャーをする。

雫「あ~、お客さんが吐いちゃったのが……」

翠さん「違うの。自分で飲み過ぎてゲロゲロって……」

雫「ええ……」

私は思わず顔をしかめる。

翠さんは、本当に仕事で来ているんだろうか……。

翠さん「あ!!これよくない?」

私の反応は気にせず、翠さんは1着のドレスを手に取る。

雫「可愛いですけど…結構…胸露出しませんか?」

翠さん「これくらいなら全然大丈夫だよ。着てみたら意外とそうでもないって」

翠さんが、スルメの脚をかじりながらハンガーからドレスを外す。

翠さん「じゃあ、着替えたら出てきてね」

雫「わかりました」

翠さんは私にドレスを渡すと、あくびをしながらお店に戻って行った。

雫「う~ん」

鏡の前で全身を見つめてみる。

雫「……」

どう見ても胸が、胸が…あまりにも強調し過ぎている気がしてならない。これじゃあ露出狂の変態だよ…。

雫「み、翠さ~ん…」

暖簾から顔を半分覗かせ、小声で翠さんを呼ぶ。

翠さん「着替えた?」

雫「はい、一応……」

そっと暖簾を開け、ママと翠さんの前に出る。

翠さん「とってもいいじゃん!!ねえ、ママ!!」

ママ「そうね。凄く似合ってるわよ、雫ちゃん」

2人は、ニコニコしながら私を褒めちぎる。

雫「ちょっと胸が出過ぎてませんか?」

ママ「気にしなくても変じゃないわ。とっても素敵よ」

翠さん「そうそう。女性の魅力全快って感じ」

同性に見られてるとはいえ、胸を露出し過ぎたドレスは下着姿と同じくらい恥ずかしい。

雫「わ、私、ちょっと着替えてきます」

翠さん「女同士なんだから、そこまで恥ずかしがらなくてもいいのに~」

ママ「まあまあ、そのうち慣れるから」

ママと翠さんが両脇に立ち、私の腕を取り、逃げられなくする。

【続】

「後悔する新人」
「調教する隣人」の真中雫が主人公のサブストーリーです。
秋野に出会う前から大学生活を送る間の物語を描いています。

小説「調教する隣人」(1)
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★小説版のみの雫ED「調教する隣人」(5)
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ゲーム「調教する隣人」
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★「後悔する新人」まとめ版★
※内容は同じです※
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