後悔する新人 #48

村上「でも、そうなると俺達はあんまり雫ちゃんの助けにはならなそうだな」

秋野「んーまぁ、まだ酒飲めないしな」

2人が顔を見合わせて、残念そうな顔を浮かべる。

翠さん「そんなこと言いながら、大学生なんだからすぐ飲んじゃうでしょ?」

村上「ですね」

村上君が、ニコニコと笑う。

ママ「雫ちゃんを雇う限りは、みんな未成年ってことは分かってるし、他のお店はともかく、ここではお酒は出せないわね。少なくとも20歳になるまでは」

翠さん「バレなきゃ別にいいんじゃなーい」

ママ「……」

翠さん「あ、そうだね。ダメだよねーやっぱり」

ママの鋭い眼光に、翠さんが発言を撤回する。

翠さんは、よほどママが怖いらしい。

ふと、ママが恐ろしい表情から一転して、何かを思いついた顔になる。

ママ「なら、1本お酒をボトルキープしてあげるわ。それで雫ちゃんが20歳になった時に飲んだらいいんじゃない?それまで取っておいてあげる」

雫「ボトルキープ…ですか?」

翠さん「ボトルキープって言うのはお酒をボトルで買って、一杯ずつお酒を飲むよりも安く多くの量を飲むこと」

雫「そういうことができるんですね」

翠さん「うん、取っておく期間は、大体3か月から半年以内ね」

秋野「じゃあ、俺が払います」

秋野君が、財布を出して払おうとする。

雫「え?そんな悪いよ。私が出します」

翠さん「雫ちゃん、キャストの子が自分で払うスナックなんてないよ」

翠さんの発言にみんなが吹き出す。

私は、恥ずかしくて黙りこくってしまった。

ママが、優しく私の肩に触れる。

ママ「雫ちゃんが20歳になった時に私からのプレゼントってことで開けましょう」

雫「嬉しいんですけど、本当に良いんですか?まだ働いてないのに……」

私とママの間に翠さんが割り込んでくる。

翠さん「ま、この人質がいる限り、雫ちゃんはスナックのアルバイトを辞められないって事ね」

翠さんが、ママの持ってきたお酒の箱を手に持って、ウンウンと頷く。

ママ「本当に嫌な子ねぇ」

ママは、嫌な子と言いつつも、翠さんの発言に対して言い返さないので、あながち間違いでもないようだった。でも、期待されているようで嬉しい。

翠さん「あ、せっかくだからボトルタグ書きなよ」

翠さんが立ちあがって、キーホルダーのようなものと油性ペンを持ってくる。

ママ「お客さんの名前を書いて、お酒のビンにぶら下げるのよ」

雫「はい」

私は、翠さんから猫の顔の形をしたボトルタグと油性ペンを受け取り、早速書いてみる。

翠さん「ん~」

【続】

「後悔する新人」
「調教する隣人」の真中雫が主人公のサブストーリーです。
秋野に出会う前から大学生活を送る間の物語を描いています。

小説「調教する隣人」(1)
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★小説版のみの雫ED「調教する隣人」(5)
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ゲーム「調教する隣人」
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★「後悔する新人」まとめ版★
※内容は同じです※
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