後悔する新人 #49

雫「あれ?何か変でした?」

翠さんが、ボトルタグに顔を近づけるなり渋い表情を浮かべる。

ママ「普通はお客さんだから『秋野さん』『秋野様』って書くのよ」

雫「あー」

翠さん「『秋野君』はねぇ~、悪くはないけど」

雫「ごめんなさい!!書き直します~」

ママ「ああ、いいのよ別に」

翠さん「そうそう。実際にそう呼んでるみたいだしぃ」

秋野「真中さん、俺もそれでいいよ」

翠さん「秋野君も!!」

秋野「え?」

翠さん「雫ちゃんは、キャストなんだから苗字で呼んじゃダメだよ」

秋野「そっか」

村上「ここだとなんて呼べばいいの?」

翠さん「あ、そういえばまだ源氏名決めてないんだっけ。とりあえず今日は雫ちゃんでいいんじゃない?」

秋野「雫さんは?」

翠さん「同級生でしょ?年上や先輩じゃないんだし」

秋野「う~~ん……」

翠さん「あれ?ご納得いかない感じ?」

村上「お前、まだ『ちゃん付け』したくないの?」

村上君が、呆れたように秋野君を見つめる。

秋野「なんか馴れ馴れしい感じがするんだよな」

翠さん「なら呼び捨てでいいんじゃない?」

秋野「え!!」

秋野君が驚いた顔をする。

そして、なぜか私はドキドキしてきた。

翠さん「さあさあ、呼んでみなよ~」

秋野「……じゃあ」

雫「……」

秋野「……雫」

雫「はい!!」

秋野「……」

翠さん「ぶふーーー」

翠さんが吹き出し、それにつられて村上君もゲラゲラと笑いだす。

秋野君が顔を赤らめ、私は何が面白いのか分からず呆然としていた。

村上「あははは、今のやり取りウケる~」

翠さん「プロポーズしてるわけじゃないんだからさぁ~ぷふ」

プロポーズという単語を聞いて、段々と自分の返事に恥ずかしくなった私は、急に顔が熱くなるのを感じた。秋野君も顔を真っ赤にしている。

うう……今のは恥ずかしい。

秋野「俺、もう呼び捨てで呼ばない……」

村上「そう不貞腐れるなよお~秋野~」

村上君が秋野君の肩をがっしりと抱き、なおも笑い続ける。

【続】

「後悔する新人」
「調教する隣人」の真中雫が主人公のサブストーリーです。
秋野に出会う前から大学生活を送る間の物語を描いています。

小説「調教する隣人」(1)
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★小説版のみの雫ED「調教する隣人」(5)
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ゲーム「調教する隣人」
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★「後悔する新人」まとめ版★
※内容は同じです※
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