
秋野君と村上君が帰り、私は翠さんと一緒に洗い物をしていた。
雫「私、源氏名決めました」
翠さん「何にするの?」
雫「翠さんと同じ本名でやります」
翠さん「……」
雫「あれ?」
翠さんの反応がないので、洗い物の手を止めて、翠さんを見つめる。
翠さん「ふ~ん」
雫「な、なんですか?」
翠さん「雫ちゃんってチョロそうだねぇ」
雫「どういうことですか!!」
翠さん「別にぃ~良かったねぇ~名前で呼んでもらえて」
雫「あ、いや、別に名前で呼ばれたとかは関係なくて…」
語尾に力が入らず、ふにゃふにゃと声が小さくなっていく。秋野君が呼んでくれた私の名前が、まだ耳に残っている。これからの大学生活やアルバイトが楽しみで仕方ない。まだまだ何もわからないけど、色んな経験をして、自分のペースで頑張って行こう。
【後悔する新人・終】