もう少し頑張りましょう #7

扉が開き、玄関に買い物袋を置いた音がする。

來未のおじいちゃん「おーい、今帰ってきたよ。かき氷を買ってきたから一緒に食べよう」

來未「はーい」

來未はおじいちゃんの声にすぐさま反応し、ベッドの下に転がっている自分の服を拾い上げ、慌てて着替え始めた。その様子を見ていた彼女も散らばった自分の服を手にし、着替える。

來未のおじいちゃん「お、美玖ちゃんも来てたな。美玖ちゃんの分もあるよ。2人とも降りておいで。おばあちゃんが今お茶を煎れていたからね」

扉が閉まる音が聞こえ、おじいちゃんがいつも履いているサンダルが砂利道を擦る音が少しずつ遠ざかっていく。

美玖「…………」

來未「…………」

お互い何も言葉を交わさなかったが、暗黙の了解でさっきまでの行為は内緒にすることにした。その日は何事もなかったように秘密基地を出て、おじいちゃんとおばあちゃんと4人でかき氷を食べた。そして、美玖は3人に玄関で見送られた。この日以降、美玖がこの家を訪れることはなかった。別れる直前の來未は感情のない人形のように表情がなく、じっと美玖を見つめていた。きっと美玖も同じ表情をしていたに違いない。

【続】