
幸奈「あ……」
桜「…………」
口を滑らしたと後悔した幸奈ちゃんは口を閉じて下を向いた。
美玖「……栞ちゃんもリボン…」
栞「私は要らない。じゃあ、誕生日は美玖ちゃんの家でいい?」
美玖「あ、えっと……うん」
放課後。桜ちゃんと幸奈ちゃんと駅前まで一緒に歩いて帰る。
桜「栞ちゃんってちょっと意地悪だよね」
私は身体をビクッと震わせた。
幸奈「うんうん。リボン作ってもらえばいいのにー意地悪だよ」
美玖「でも、栞ちゃんもいい子だよ」
桜「そうかなぁー。でも、誕生日楽しみだねー」
幸奈「桜ちゃんの誕生日じゃないじゃん!美玖ちゃんの誕生日だよ!」
美玖「お母さんに頼んでケーキ作ってもらおうかな」
桜「美玖ちゃんのお母さんのクッキー美味しかったよね」
幸奈「でもさ、せっかくなら美玖ちゃんのお母さんに教えてもらってみんなでケーキ作ろうよ」
桜「それいい!」
美玖「みんなでケーキ作ったら栞ちゃんとも仲良くなれるかな」
幸奈「きっとなれるよ。プレゼントも楽しみにしててね」
美玖「プレゼントもらってもいいの?」
桜「だって誕生日だもん。もらえなきゃおかしいよ」
家に帰ってお母さんに誕生日の話をした。お母さんは誕生会もケーキ作りも準備してくれると言ってニコニコ笑った。せっかくならと可愛いブラウスと花柄の新しいミニスカートも買ってくれた。でも、誕生日の時にみんなを驚かせるために当日までは2人だけの秘密にした。
お母さん「お母さんもプレゼントを用意しなきゃ」
美玖「えー?何々~?」
お母さん「秘密、教えたら面白くないでしょ?」
美玖「う、うん…じゃあ我慢する…」
誕生日までの間、お母さんは折り紙でカーテンを作ったり、色々な準備をしてくれた。私は楽しみで毎日そわそわしていた。桜ちゃんは自分の誕生日のように毎日プレゼントを気にして、美玖ちゃんは私の誕生日までの日数を毎日カウントダウンしていた。
誕生日当日。桜ちゃんと幸奈ちゃんは、準備してから行くと言って校門で別れた。私は大急ぎで走って家に戻った。心臓がドキドキする中、お母さんが買ってくれたブラウスとミニスカートに着替える。誕生日の会場は、まるで家じゃないみたいだった。
私のお気に入りのぬいぐるみが三角の帽子を被って並べられている。折り紙で作ったカーテンがぶら下がり、『誕生日おめでとう』のパネルが壁に飾ってある。テーブルには真っ赤なテーブルクロスが引いてあり、みんなの分のお皿とナイフ、フォークが並ぶ。そして、大きな無地のホールケーキに飾り付ける予定のケーキの材料。私は何度も鏡の前で恰好をチェックし、お母さんにも見てもらう。何度もトイレに行き、ぬいぐるみの順番を気にした。
【続】