
美玖「止めてよっ!!!止めてっ!!」
和也「うるせえ!黙ってろ!!!」
愛「声デカいんだよ。普段は何も言わずに黙ってるくせに」
栞「美玖に友達が出来るように声を出す練習をしてあげる」
美玖「だっ誰か助けてっ!助けてよっ!!!!」
栞「あはははは、ウケるー超必死じゃん」
愛「そもそもアンタ友達いないじゃん。誰が助けてくれるわけ?」
和也「超ガクガク震えてて笑えるわ。もっと怖がれよ」
美玖「やめてっやめてえ……」
和也が私の椅子を前後左右にガタガタ揺らす。あまりの恐怖に心臓がバクバクと早くなる。誰も助けてくれない。目の前が真っ暗でガサガサと紙袋の擦れる音、笑い声、呼吸が浅くなる、苦しい……怖い怖い怖い……お母さん、月江、誰か誰か……なんで私が、何もしてないのに……怖い。私、私死んじゃうかも死ぬかも死ぬかも……大丈夫?私、私大丈夫かな?
美玖「ひっ……な、何?誰」
栞「ほーら、オッパイ揉み揉み~」
美玖「や、やめてよ!触らないで!」
栞がシャツをめくり、両手をブラの中に入れた。乱暴に胸を掴み、爪を立てる。私は、あまりの痛さに声を上げ、泣きじゃくった。
美玖「痛っ!!!痛いっ!!!」
愛「キモーコイツ感じてんじゃない?」
美玖「やめて!!!……うっ!!」
叫んだ瞬間、誰かが私のお腹を思いきり殴った。栞か愛だと思う。お腹が痛い。こんなに強くお腹を殴るなんて……本当に最低。どうして、こんなひどい事をして笑っていられるの?
栞「静かにしなよ。顔に傷つけるよ」
美玖「……」
愛「あは、ブスの癖に顔傷つけられるのは嫌なんだー誰も見てねーから、自惚れんな」
栞「見て見て、コイツ超ビビってる」
愛「陰キャ男子~ちょっと来いよ」
美玖「……うっ……く……」
さっきとは違った男子の汗ばんだ手が胸を撫でまわす。私は攻撃されるのが怖くて目を瞑り、唇を噛みしめ、声を押さえた。ここにいる全員を殺してやりたい。悔しい。気持ち悪い。嫌い嫌い嫌い。死ね死ね死ね……。
栞「オタク君にオッパイ触られて濡れてんじゃないの?」
愛「キモすぎ~美玖って変態なんだねーあはははは」
栞「ねえ、気持ちいい?」
美玖「……気持ちいいわけないでしょ……」
栞「あっそ……」
美玖「!?」
和也が私の両肩に力を入れ椅子を後ろに倒す。ふわりと椅子が浮き、私は後頭部を強く打った。紙袋が外され、私を覗き込んで笑った奴等を睨みつけた。私はその顔を絶対に忘れない。怯えた表情で眺める女子たちの後ろに立っていた志田先生が私を冷たい目で見下ろし、何も言わずに去っていった。
【続】