もう少し頑張りましょう #70

和也「グマ、チンチン触ると気持ちいいだろ?」

グマ「うん!!気持ちいい!」

羽柴「バーカ」

和也「グマ、ズボンとパンツ下ろして触るともっと気持ちいいぞ」

グマ「うん!!」

羽柴「オラッ」

 羽柴がグマのズボンとパンツを一気に下げる。私はこういう時、グループに視線を向けない。音や声だけで大体何が起きているかわかる。巻き込まれたくない私は、出来るだけ存在を消して、状況が落ち着くのを待つ。

女子達「きゃあああああ」

和也「グマのチンコデケー」

栞「キモーい。グロすぎ」

愛「汚―い。写メ撮ろ。栞にメールしてあげる」

栞「いらねーから。和也、もうしまわせろって。くせーしキモい」

和也「だってさ。グマ、チンコしまえ」

グマ「うん!!」

羽柴「メッチャモッコリしてる。ぎゃははははは」

和也「あはははは、パンツに染み付いてんじゃん。ウケるわー、グマもウケるよな?」

グマ「ウケるー」

羽柴「はあ? うっわ最悪。グマが小便漏らした」

グマ「出ちゃった」

女子達「きゃああああああああ」

愛「最悪……」

栞「ふふ……グマには係りがいたほうがいいんじゃない?」

愛「係り?」

栞「図書係、生物係、飼育係……クラスみんな係り持ってるじゃん。一人を除いて……」

 私は身体を強張らせた。心臓がバクバクとなり始めた。全員の視線が私に向いているのが分かる。栞と愛が私に近づき、栞が私の肩に手を乗せた。

栞「美玖がグマ係。お前、何もやってないでしょ? やれよ?」

美玖「わ、わ、わた、私は……」

愛「きゃはははは。メッチャビビってるんだけど。顔見て顔」

栞「しかも噛みまくってて笑えるんだけど、障害者同士仲良くしろよ」

和也「グマ係~早く小便拭けよ~。臭せえだろ」

美玖「私、嫌だ……」

 私の視線は誰にも向かない。クラスメイト全員が視線を逸らす。私から距離を取る。誰も助けてくれない。栞が私を立ち上がらせ、愛が雑巾を投げつけてくる。私はビクビクしながら立ちすくむ。

栞「やるまで終わらないからね?」

 栞が私の髪を引っ張り、耳元で囁く。私はすっかり怖くなってしまい、雑巾を受け取ってフラフラと歩き始めた。

愛「早くしろよ」

美玖「うっ……」

 愛が私のお腹を殴りつける。痛みに声が出ず、私はお腹を押さえたまま顔をしかめて、膝をついた。

愛「もうオシッコ舐めさせた方がいいんじゃない?」

栞「拭くのと舐めるのどっちがいいんだよっ!!」

美玖「ふ、拭くから……もう、やめて……」

栞「さっさとやれよ」

美玖「痛っ!!」

【続】