もう少し頑張りましょう #72

志田「ほら、せっかく2人が誘ってくれてるんだから長谷川さんも心を開きなさい。どうして貴女は前向きになれないの? なんで普通のことが出来ないの?」

美玖「そ、それ、それはあの……あのあの……」

志田「あのーあのーってね。いつまでも赤ちゃんじゃないんだから」

栞「ふふ、アイツ本当に障害者になってない?」

愛衣「もともと障害者でしょ。あのーあのーとか……ウケるよね」

志田「今日は見学は許しません。必ず参加しなさい」

美玖「……あっ!」

 愛が私のスカートを下ろす。私は悲鳴を上げてしゃがみ込み、男子達がおお~と冷やかして笑う。

愛衣「着替え手伝ってあげようと思ったのに~」

栞「愛やめなよ~長谷川さんが可哀想じゃ~ん」

愛衣「可愛いパンツ見られて長谷川さんも嬉しいんじゃない?」

美玖「……」

志田「はいはい、ふざけない。男子は外で野球、女子はバスケね」

和也「えええ~~めんどくせえ」

 男子達がぶつぶつと文句を言いながら体育館を出ていく。先生が見下したような視線を私に向ける。

志田「長谷川さん、ジャージはどうしたの?」

美玖「わ、わ……忘れました」

志田「はあ~~」

先生がワザとらしいため息をつく。私はこのため息が本当に嫌でしょうがなかった。何も言えずにしゃがみ込む私を栞と愛衣が無理矢理立たせる。

志田「最初からヤル気なんてないんでしょ?」

美玖「いいい、いえ、その、ちが、違います……」

志田「ジャージはないですからね」

愛衣「制服のままでバスケやればいいじゃん」

栞「そうそう。私たちが練習してあげるよ」

志田「じゃあ、そうしてもらえる? 三人以外はチームを変えながら試合をすること」

女子達「はーい」

志田「先生は職員室にいますから、何かあれば呼んでください」

 先生はそう言うと体育館から出て行った。

栞「あの女マジで教師ヤル気ないよね」

愛衣「タバコばっかり吸ってるからね。アイツ、数学の花川とデキてるらしいよ」

栞「マジ?あ~教師の中ならマシな方かも……」

愛衣「グマの小便拭いてきた?」

美玖「……う、う、うん……」

栞「だから、コイツ臭いんだ。なんか小便臭いと思ったんだよねー」

美玖「……」

愛衣「暗いなーお前」

美玖「痛っ!!」

 愛衣がバスケットボールをぶつけてくる。私は右腕を押さえて、再びしゃがみ込む。

愛衣「はい。パスを取れなかったからスカート没収ね」

美玖「や、やだ。嫌だ!!」

栞「じゃあ顔面にボールぶつけてやろうか?」

美玖「やだっ!!やめてっ!!」

【続】